デュタステリドでAGA治療を始める際、
「性欲が低下する?」
「肝臓への影響は?」
と副作用が気になる方もいるでしょう。
デュタステリドは男性型脱毛症に用いられる内服薬ですが、性機能の変化や肝機能障害などが報告されています。
すべての方に症状が現れるわけではないものの、服用前にリスクを知ることは大切です。
この記事では、添付文書をもとに、副作用の種類と頻度、妊活への影響、服用時の注意点と対処法を解説します。
デュタステリドとは?AGA治療での働き
デュタステリドは、男性型脱毛症(AGA)の治療に使われる医療用医薬品です。国内では「ザガーロ」などの製剤があり、男性のAGAに対して使用されます。円形脱毛症など、AGA以外の脱毛症に対する適応はありません。
AGAには、男性ホルモンのテストステロンからつくられるジヒドロテストステロン(DHT)が関係しています。デュタステリドはDHTの生成に関わる「5α還元酵素」のⅠ型とⅡ型を阻害することで、AGAの進行を抑える働きが期待される薬です。一方、男性ホルモンの代謝に作用するため、性機能に関する副作用にも注意が必要です。
ザガーロの添付文書では、成人男性への通常用量は0.1mgを1日1回、必要に応じて0.5mgを1日1回とされています。どの用量を使用するかは、AGAの状態や健康状態を踏まえて医師が判断します。
デュタステリドで報告されている主な副作用
ザガーロの添付文書には、次のような副作用が記載されています。
| 分類 | 主な症状 | 添付文書上の頻度 |
|---|---|---|
| 性機能不全 | リビドー減退、勃起不全、射精障害 | 1%以上 性機能不全として |
| 重大な副作用 | 肝機能障害、黄疸 | 頻度不明 |
| 精神神経系 | 頭痛、抑うつ気分 | 1%未満 |
| 乳房 | 女性化乳房、乳頭痛、乳房痛、乳房不快感 | 1%未満 |
| 過敏症 | 発疹 | 1%未満 |
| 消化器 | 腹部不快感 | 1%未満 |
| その他 | めまい、精巣痛・腫脹、じんまじん、かゆみ、腹痛、下痢、倦怠感など | 頻度不明 |
※「1%以上」は、各症状がそれぞれ1%以上という意味ではなく、「性機能不全」としての頻度です。
※「頻度不明」は、発現割合を明確に算出できないことを示します。
出典:ザガーロカプセル0.1mg/0.5mg 添付文書
性欲の低下(リビドー減退)
リビドー減退とは、性行為や性的なことへの関心・欲求が低下する状態です。デュタステリド服用中に報告されている症状の一つですが、性欲は睡眠、ストレス、年齢、体調などの影響も受けます。
服用後に変化を感じたとしても、薬だけが原因だと決めつけず、症状が始まった時期や生活上の変化を整理することが大切です。
勃起不全(ED)
勃起不全は、性行為に必要な勃起が得られない、あるいは十分に維持できない状態を指します。性欲そのものの低下とは異なる症状です。
血管や神経の働き、持病、心理的な要因などが関わる場合もあるため、症状の原因は一つとは限りません。生活に支障がある場合には、適切な評価を受けましょう。
射精障害・精液量の減少
射精しにくいなどの射精障害や、精液量の減少も報告されています。
精液量が少なくなったことだけで、不妊であると判断することはできません。精子数や精子運動率などは別の指標であり、妊娠への影響が気になる場合には、必要に応じて医師と検査について相談します。
肝機能障害・黄疸
肝機能障害と黄疸は、添付文書で「重大な副作用」に分類され、頻度は不明です。AST・ALT・ビリルビンなどの検査値に異常が現れる場合があります。
デュタステリドは主に肝臓で代謝されるため、もともと肝機能に問題がある方では特に注意が必要です。
強いだるさ、食欲不振、吐き気、皮膚や白目が黄色くなる、尿の色が濃くなるといった症状が現れた場合は、肝臓の異常などが疑われます。
服用を続けて様子を見るのではなく、速やかに医療機関へ連絡してください。
気分の落ち込み・頭痛・めまい
添付文書には、頭痛や抑うつ気分が1%未満、浮動性めまいが頻度不明の副作用として記載されています。
気分の落ち込み、意欲の低下、ふらつきなどを感じる場合があります。ただし、こうした症状には薬以外の原因も考えられます。
症状が続いたり、日常生活に影響したりする場合は、早めに医師に伝えましょう。
乳房の変化・皮膚症状など
胸が膨らむ女性化乳房、乳頭や乳房の痛み・不快感、精巣の痛みや腫れも報告されています。また、発疹、じんましん、かゆみ、むくみ、腹部不快感などが現れることもあります。
なお、前立腺肥大症患者で男性乳がんが報告されていますが、デュタステリドとの因果関係は明らかではありません。乳房にしこりや分泌物がある場合は、薬の影響と自己判断せず受診してください。
唇や舌、喉の腫れ、息苦しさが急に生じた場合は重いアレルギー反応の可能性があり、緊急の受診が必要です。
副作用が起こる頻度は?臨床試験のデータ
副作用がどの程度報告されているかは、臨床試験の条件によって異なります。ザガーロの添付文書に掲載された、主な試験結果を確認しましょう。
| 主な副作用 | 国際共同試験 24週間・557例 |
国内長期投与試験 52週間・120例 |
|---|---|---|
| 勃起不全 | 4.3%(24例) | 10.8%(13例) |
| リビドー減退 | 3.9%(22例) | 8.3%(10例) |
| 精液量減少 | 1.3%(7例) | 主な副作用としての記載なし |
| 射精障害 | 主な副作用としての記載なし | 4.2%(5例) |
| 副作用全体 | 17.1%(95例) | 16.7%(20例) |
※国際共同試験の557例には、現在の承認用量より少ない0.02mg投与群も含まれます。
※試験条件や投与期間が異なるため、副作用の発現割合を単純に比較することはできません。
※「主な副作用としての記載なし」は、発現しなかったことを意味するものではありません。
出典:ザガーロカプセル0.1mg/0.5mg 添付文書
そのため、二つの試験の数値を直接比較して「長く飲むと副作用が増える」などと結論づけることはできません。報告割合はあくまで各試験での結果であり、個人の発症確率を示すものではありません。
副作用はいつ出る?服用をやめれば治る?
副作用が現れる時期や程度は人によって異なり、服用から何日後に起こると一律にはいえません。
症状が出た場合は、服用を始めた日、症状が出た時期、変化の程度を記録しておくと診察の参考になります。
また、添付文書にはリビドー減退、勃起不全、射精障害を含む性機能不全について、服用中止後も持続したとの報告が記載されています。
中止すれば必ずすぐに回復するとは限らない一方、すべての人で症状が長く続くわけでもありません。
改善の見込みを自己判断せず、処方医と相談して治療方針を検討することが重要です。
妊活中の男性が確認したい精液への影響
デュタステリドは精液の性質に影響する可能性があります。
添付文書に記載された海外臨床試験では、健康成人男性27例に0.5mgを52週間投与した結果、プラセボ群との比較で調整した総精子数、精液量、精子運動率の平均減少率は、それぞれ23%、26%、18%でした。
各精液パラメータの平均値は正常範囲内でしたが、27例中2例では投与52週時に総精子数が投与前より90%を超えて減少し、投与終了24週後には軽快したと報告されています。
また、総精子数の平均減少率は、投与終了24週後も23%でした。
これらの変化が個々の男性の受胎能(妊娠させる能力)にどのような影響を及ぼすかは、明らかになっていません。
妊娠を希望している方や不妊治療を受けている方は、服用開始前に必ず医師へ伝え、治療を続けるかどうか相談しましょう。
デュタステリド服用前の注意点
女性・小児は服用できない
ザガーロは女性および小児等への投与が禁忌です。また、20歳未満に対する安全性と有効性は確立されていません。
妊娠中の女性が成分に曝露すると、男子胎児の外生殖器の発達に影響する可能性があります。
デュタステリドは皮膚からも吸収されるため、女性や小児はカプセルから漏れた薬剤に触れないようにしてください。触れた場合は直ちに石けんと水で洗い流す必要があります。
肝臓の病気・服用中の薬を申告する
重度の肝機能障害がある方や、デュタステリドなどの5α還元酵素阻害薬に過敏症の既往がある方には使用できません。
それ以外の肝機能障害がある場合も、服用の可否を慎重に判断する必要があります。
また、デュタステリドは主としてCYP3A4という酵素で代謝され、リトナビルなどのCYP3A4阻害薬と併用すると血中濃度が上昇する可能性があります。
市販薬やサプリメントも含め、使用しているものを医師・薬剤師に伝えましょう。
PSA検査を受ける際は服用を伝える
デュタステリドは前立腺がんの検査で使われるPSA値を低下させます。
前立腺肥大症患者に0.5mgを6か月投与した場合、PSA値が約50%低下したとされています。
AGA治療中でも検査結果の解釈に影響する可能性があるため、健康診断や泌尿器科でPSA検査を受ける際は必ず服用を申告してください。
カプセルを開けず、処方された方法で服用する
カプセルを噛んだり、開けて中身を取り出したりしないでください。内容物が口や喉の粘膜を刺激する可能性があります。
また、副作用が心配でも自己判断で用量や服用間隔を変えず、医師に相談しましょう。
副作用が疑われるときの対処法
体調に変化があった場合は、症状の種類・強さ・続いた期間を整理し、処方医に相談してください。
性機能の変化や気分の落ち込みなども、生活への影響を含めて伝えることが大切です。
医師が必要に応じて、ほかの原因の確認や薬の中止・変更などを検討します。
一方、黄疸を疑う症状や強い倦怠感、急な顔・喉の腫れ、呼吸困難がある場合は、通常の診察日を待たずに医療機関を受診してください。
特に呼吸が苦しい場合は救急対応が必要です。
デュタステリドの副作用に関するよくある質問
フィナステリドより副作用が多いですか?
フィナステリドは主に5α還元酵素Ⅱ型、デュタステリドはⅠ型とⅡ型の両方を阻害します。
どちらも性機能に関する副作用が報告されていますが、異なる試験で得られた発現割合だけで、どちらが必ず安全とは判断できません。
治療歴や副作用への不安を伝えたうえで、薬を選択しましょう。
副作用が怖いので、毎日飲まなくてもよいですか?
服用頻度や用量を自己判断で変更すると、期待する治療効果が得られなかったり、効果の判定が難しくなったりする可能性があります。
副作用が不安な場合は、服用方法やほかの治療選択肢について医師に相談してください。
長期間服用しても問題ありませんか?
長期投与試験の報告はありますが、すべての方で長期間の安全性が保証されるわけではありません。
添付文書では、治療効果を評価するには通常6か月間の治療が必要とされ、6か月以上服用する場合も定期的に効果を確認して継続の必要性を検討するよう求めています。
治療中は効果だけでなく体調の変化も確認しましょう。
まとめ|副作用を知ったうえでAGA治療を検討しよう
デュタステリドでは、性欲の低下、勃起不全、射精障害などが報告されています。また、頻度不明ながら肝機能障害や黄疸は重大な副作用として注意が必要です。
妊活中の方は精液への影響についても事前に確認しましょう。
副作用の有無や程度には個人差があります。服用前に持病・併用薬・妊娠希望の有無を伝え、治療中に気になる症状があれば医師へ相談することが大切です。
効果とリスクの両方を理解し、自分に合ったAGA治療を検討しましょう。


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